
日本三大銘茶だけじゃない!九州の銘茶をご紹介
2018年02月09日(金)/九州
日本三大銘茶とは、静岡茶、宇治茶、狭山茶、または、静岡茶、宇治茶、知覧茶のことを指しています。しかし、お茶は暖かいところで育つ植物ですから、九州には知覧茶以外にも銘茶がたくさんあるはず!今回は、九州の銘茶をたっぷりご紹介します。
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福岡県のお茶
福岡でのお茶の栽培は、1423年に周瑞禅師が明より帰国して、現在の黒木町に霊巌寺を建立し、茶の種を捲いたのが起源とされています。その後、1560年に豊前地方で栽培が始まって徐々に広まっていきました。現在のお茶の産地には、八女市、みやこ町、豊前市、上毛町、朝倉市、うきは市、筑後市、広川町など。
八女茶
出典:https://tanakatyaho-saga.com/
八女は玉露の三大産地の一つ。玉露生産量全国一位。玉露を生産する基準を厳しく作り、高品質の玉露の生産を維持しているものを、八女では伝統本玉露と呼んでいます。
そんな八女茶は、伝統本玉露・玉露・かぶせ茶・煎茶と分けられており、八女茶の製法は深蒸し。淹れた時の水色は深い緑色、味は甘くてコクがあり強い旨味を味わえます。なお、「八女茶」「福岡の八女茶」という名称は、八女を中心とした県内全域で生産されたお茶の統一ブランド名。
星野茶
星野村の棚田で作られるお茶は、平地で栽培されるお茶に比べ、渋みが少なくてまろやかな甘みが感じられます。星野茶の玉露は、濃い緑色が鮮やか。甘みと豊かな香りが特徴。その味は、日本一と言われていますが、生産量が極めて少ないためなかなか入手できません。日本一の玉露、ぜひ一度味わってみたいものですね。
大分県のお茶
大分県では、自生していた「ヤマチャ」を家の周辺などに植え、平釜で炒って飲用にするという習慣が昭和40年代ごろまでありました。大分県内には、その釜炒りを現在まで伝えている産地も。お茶の主な産地は、杵築市、中津市、佐伯市、臼杵市、豊後大野市、耶馬渓などです。
耶馬溪茶
出典:http://www.city-nakatsu.jp
耶馬溪茶は、大分県が認定する、環境にやさしい農法を行っている業者が生産しており、標高437メートルで作られる耶馬溪茶は、排気ガスなどの影響をほぼ受けない大自然の中で育てられています。主な製法は、深蒸しです。淹れた時の水色は濃い緑色で味は濃厚。また、手もみ茶にも挑戦しており、手もみ茶は、お茶の味がするのかと思うほど淹れた時の水色が薄いのですが、口に含むと上品な味を感じた後に、強く旨味を感じられます。
因尾茶
因尾茶は、「いんび茶」と読み、佐伯市の因尾地区で栽培されています。製法は、鉄製の平釜を使った伝統の釜炒り。茶葉の形が丸く仕上がります。味には、コクと甘み、渋みがあり、爽やかな香りがして、後味は、さっぱり。また、「因尾茶イダー」や「因尾茶バターケーキ」などの新製品の開発にも取り組んでいます。
きつき茶
出典:https://chabatake-itoen.jp
杵築産の茶葉を使いますが、生産量が多くないため、県外では入手しにくいお茶。温暖な高地で太陽の光に当てて育てており、独特の旨味があります。製法は、浅蒸し(30秒ほど蒸して揉む製法)で作られています。口に含むと香りと旨味、渋みが味わえます。すっきりとした味わいです。
宮崎県のお茶
日本茶の製法の一つである「釜炒り茶」(茶葉を蒸さずに手で混ぜながら炒る作り方)の生産は、日本全国のお茶の1パーセント未満しか作られていません。その生産は九州に多く、6割が宮崎県で作られているそう。
全国茶品評会での産地賞でも釜炒り茶の産地である、五ヶ瀬町、延岡市、高千穂町が上位三位を受賞したことも。また、2016年には荒茶生産量全国第4位を記録。
宮崎県の主な産地は、高千穂、五ヶ瀬、都城市、串間市、川南市などです。現在、宮崎県では、県外に向けて「宮崎茶」という呼称で統一しつつあります。産地の特徴としては次のようなものがあります。
高千穂茶・五ヶ瀬茶
出典:JA高千穂地区
釜炒り茶が主流です。煎れたてのお茶の色は黄金色に近く、釜炒り茶独特の香りがします。
都城茶・串間茶
みる芽(お茶の柔らかい若芽)を使い、浅蒸しで作ります。淹れた時の水色は濃い緑色です。
川南茶
大きめの茶葉を使い、浅蒸しで作ります。淹れた時の水色は濃い緑色。強く香ります。
佐賀県のお茶
日本における茶葉の栽培は、1191年に臨済宗の栄西(えいさい)禅師が中国から持ち帰った茶の種を、佐賀県脊振山に植えたことが始まりとされています。そして、1504年に陶工である紅令民が明の釜を持ち込ん。炒葉茶の製法を伝え、嬉野式の釜炒り茶が始まりました。佐賀県は、2008年に荒茶生産量全国第8位を記録しております。
嬉野茶

嬉野茶は、葉の形が丸まっており玉緑茶とも呼ばれています。グリグリとした丸い形状から名づけられたとされる、グリ茶という可愛い名称で呼ばれることも。
嬉野茶には二つの製法があります。最初の工程が蒸すことから始まるものと、炒ることから始まるもの。蒸す方は、「嬉野蒸し製玉緑茶」あるいは「蒸しグリ茶」と呼ばれます。
現在は、嬉野茶の98%がこの製法で作られており、淹れた時の水色は濃い緑色、香りが強いのですが、味はコクがあるのにすっきり。普段の食事中や食後にぴったりのお茶です。茶葉が丸いために、何煎も入れられるのも、普段使いに最適ですね。
一方、室町自体に伝来した釜炒り茶は、「嬉野釜炒り製玉緑茶」と呼ばれています。淹れた時の水色は、澄んだ黄金色。釜香と呼ばれる爽やかな甘さを感じる香りがし、希少性が高いお茶。喉越しが良いので、こちらも日常に飲むお茶といえます。
栄西茶

栄西禅師が茶葉を植えたのは、脊振山の霊仙寺の庭でした。昭和20年に肥前史談会により、この地が茶樹栽培発祥の地と決定されました。ここで作られているお茶は「栄西茶」と呼ばれ、釜炒り手もみの製法で作られています。三日月の形をした茶葉は、煎れたては青みがかった黄金色。渋みがない濃厚な旨味が感じられます。
長崎県のお茶
1191年に佐賀にお茶の種を植えた栄西禅師は、長崎県の平戸に「冨春庵」を建立し、ここにもお茶の種を植えたとされています。1853年に大浦お慶という女性貿易商がお茶をイギリス、アメリカ、アラビアの三カ国に輸出したほどお茶の栽培が盛んな県です。主な産地は、波佐見町、東彼杵町、島原市、松浦市、世知原町、福江町など。そのぎ茶、世知原茶以外の産地のお茶は、長崎玉緑茶として、ブランド化されています。
そのぎ茶
彼杵町で生産されているお茶。長崎県全体の茶葉生産量の65%をしめています。こちらの茶葉も玉緑茶やグリ茶と呼ばれていて、製法も蒸す方法と釜炒りの方法の二種類で作られています。昼夜の気温差が大きい山間部で栽培されているため、まろやかでコクがある味と、さわやかな香りを楽しめます。
世知原茶
出典:http://seiyouen.blog.bbiq.jp
世知原は、「せちばる」と読みます。佐世保で生産されているお茶。明治28年に茶業の振興策によって流通が始まるまで、世知原の住民間でしか飲まれていなかった、知る人ぞ知るお茶でした。味・香り・茶の色が評価されている玉緑茶です。世知原茶を使った、茶そばや緑茶スコーンなど新商品も開発されています。
熊本県のお茶
「日本茶業史」によれば、熊本では自生していた「ヤマチャ」を摘ん。製茶して飲用にしていたのが熊本県でのお茶の始まりと考えられています。本格的に茶葉の栽培が始まるのは、江戸時代が始まる1603年頃からです。現在の熊本県の主な産地は、阿蘇、菊池、上益城、宇城、八代、球磨、芦北などです。
くまもと茶
熊本の主な産地からとれるお茶を、くまもと茶と呼んでいます。くまもと茶は、玉緑茶の生産量が全国の25%をしめています。煎茶、深蒸し玉緑茶、釜炒り茶、玄米茶、ほうじ茶と満遍なく生産されています。釜炒り茶は、別名「青柳茶」とも呼ばれていましたが、釜炒り茶の生産量が少なくなったため、現在ではあまり使われなくなっているそう。
岳間茶
出典:http:/akema-tea.biz
岳間茶は、福岡県との県境にある鹿北町で栽培されているお茶です。他の地域で採れるお茶に比べ、茶葉に厚みがあり、お茶の成分が多いことが特徴。細川藩への献上茶の産地であり、第47回農林水産大臣賞に輝きました。製法は、じっくり時間をかけて蒸す、深蒸しが使われています。煎れたては濃い緑色。まろやかな味
鹿児島県のお茶
鹿児島県は、荒茶生産量全国2位を誇ります。鎌倉時代初期に平家の落人がもたらしたという言い伝えもありますが、鎌倉時代に宇治から来た寺の住持が般若寺で栽培したものが、鹿児島県でお茶の栽培を行った最初の記録として残っています。茶の栽培が盛んになったのは、江戸時代に入ってから。主な産地は、知覧、大浦、種子島、頴娃、有明、財部などです。
知覧茶
全国三大銘茶に数えられることもある、銘茶中の銘茶。南九州における緑茶の生産量は、市町村単位では全国第1位です。黒い寒冷紗をかけて栽培するかぷせ茶。みる芽を使用。一般的に栽培されている品種は「やぶきた」ですが、知覧茶は「ゆたかみどり」「あさつゆ」などの品種を使用しています。製法は深蒸し。より品種の特性であるコクや甘みが引き立っています。ぬる目のお湯で淹れるのがおすすめ。
大根占茶
緑のダイヤモンド、と呼ばれることもある大根占茶は、錦江町で作られています。大根占茶は、かなりお茶に詳しい人でないと知らない名前かもしれませんが、業界人が認める銘茶。製法は深蒸し。歴史の古いお茶です。しっかりと太く柔らかく育てた茶葉から甘みが引き出され、透明感とフレッシュな香りが楽しめます。淹れた時の水色は透明感があります。
頴娃茶
頴娃茶は鹿児島県の中でも出荷量が一番多い、と言われており、「さえみどり」という品種が使われています。製法は、30秒から1分ほど蒸す、中蒸し。淹れた時の水色は、透明感のある緑色。味は甘みと渋みの調和がとれていてやさしい味わい。三煎目も美味しくいただけます。
種子島茶
出典:http://tanegashima-kyouryokutai
種子島茶は、日本一早い新茶の里と言われています。明治42年から栽培が始まり、他の産地より20日くらい早く新茶を出荷しています。種子島の海風に吹かれ、朝霧に包まれる環境で育った種子島茶の製法は、浅蒸しです。甘くまろやかな味わい。淹れた時の水色は、透明感のある薄緑色をしています。
九州の銘茶をご紹介してきましたが、いかがでしたか?九州には、美味しいお茶が多数。特に釜炒り茶は、九州では一般的ですが他の地域ではあまり作られていないので、機会があれば、九州各地のお茶の産地を訪れてみて下さいね。きっと、お気に入りのお茶に出会えますよ!