鯖街道でおすすめの美味しい鯖グルメを厳選
2024年09月14日(土)/福井県
福井県の小浜から、海の遠い京都中心部まで海産物をはじめさまざまな物資を運んでいた道。
特に鯖が多く運ばれた事から『鯖街道』の名が付けられました。地理や歴史に詳しく、また地元の方でない限り耳にする機会は少なかったかもしれません。しかし、京都で鯖寿司を食べたことがあると言う方は意外と多いのでは?実はこれも『鯖街道』が関係しています。
『鯖街道』について学ぶことが出来るスポットや、鯖街道でおすすめの美味しい鯖グルメを厳選してご紹介します。次の旅の計画に、ぜひ加えてみてください。
鯖街道ってどんなところ?
若狭地域は古くから朝廷へ食料を献上する御食国(みけつくに)の1つとして、万葉集にも記録されています。
出典:CARSMEET WEB
なかでも18世紀後半からは水揚げの多かった鯖が運ばれたことにより、若狭から京都へ向かうルートは「鯖街道」と呼ばれるようになりました。
京都にある老舗の「いづう」は鯖姿寿司が有名ですが、京都にこういった鯖寿司の名店が多いのも若狭から鯖街道を通って鯖が運ばれたことに由来します。
出典:E.P.E.クラブ
実は鞍馬街道や周山街道など、小浜と京都を結ぶ街道はいくつかあります。
そのうち最も盛んに利用されたのが、小浜から針畑峠を経て滋賀県の朽木・京都の出町柳を結ぶルートでした。
現在ではこの道を主に「鯖街道」と呼び、その歴史に触れようと多くの観光客が集まるようになりました。
京は遠ても十八里
鯖は鮮度が落ちやすいため、保存が利くように塩で締めて丸1日かけて運ばれました。
出典:山大好きの山ちゃん
そのおかげで、京都に着く頃にはちょうどいい味加減になっていたそうです。
とは言え、今のように車があるわけではないので全て人力。鯖を背負いながら、急峻な峠をせっせと歩いて行きました。
出典:ameblo.jp
「京は遠ても十八里」と、京都まではせいぜい十八里(約70km)と言いながら街道を行く人々の往来がありました。
日本遺産に認定!
鯖街道は鯖だけでなく、人の往来や多くの物資や文化などを運ぶ重要な街道。
出典:山旅三昧
この街道の発達により沿道の街並みが形成され、民俗文化財や寺社や集まったことなどが非常に貴重な存在であることから、2015年に『海と都をつなぐ若狭の往来文化遺産群~御食国若狭と鯖街道~』として日本遺産の認定を受けました。
出典:aka Sakaki
単に「鯖を運んだから鯖街道」ではなく、その背景も非常に魅力的です。これをきっかけに、ぜひ若狭地方の観光を楽しんでください。
電話番号:0770-52-3844(若狭おばま観光案内所)
鯖街道の歴史をより深く学ぶならココに行こう!
鯖街道ミュージアム
実は3・8の語呂合わせで、毎年3月8日は鯖の日。これに合わせて、2020年3月8日にオープンしました。
館内では鯖を運ぶ際に使ったカゴなどの道具類約30点のほか、小浜から京都までの鯖街道をたどるパネルや、放生祭やお盆の民俗行事「六斎念仏」などの祭礼・伝統行事を映像で紹介。
また航海安全を祈願して、小浜の船主が所有する船を描いた1846年製の大絵馬の複製なども展示。
建物正面にある屋外広場には、小浜から京都までの十八里をイメージし、「針畑越え」「若狭街道」の2つの鯖街道を模した築山も。
このミュージアムの面白いところは、トリックアートを使ったフォトスポットがあること。
出典:車正吉・桜が駆け巡る
まず鯖街道ミュージアムを訪れた際に、最初に目に入る入口。ある一定のアングルから撮影すると、鯖が飛び出すように見えます。
また館内の中にもメインの北前船を中心に放生祭の山車や大太鼓を描き、足元には海から鯖が飛び出してくるように表現したものがあります。
出典:若狭湾観光連盟
撮ったら思わず誰かに見せたくなる、そんな1枚が出来上がります。これだけ充実した内容ですが、入館は何と無料!
鯖街道を知るために、まずは立ち寄っていきたいところです。
熊川宿
出典:ameblo.jp
交通や軍事面において重要地点となることから、若狭の領主であった浅野長政が諸役免除などの保護を行い1587年に宿場の基礎を築いたと言われる熊川宿。
出典:旅のはなし
街道最大の中継地でもあり、最盛期には1日千頭もの牛馬が通り繁栄しました。
1996年から街道の景観整備が進められ、残された奉行所や番所跡などで当時の様子を窺い知ることが出来ます。
出典:フォートラベル
また道の脇には石積みの護岸の用水路・前川があり、屋敷への出入り口には小さな石橋が架けられています。
また所々に「かわと」という石組みの洗い場や、芋洗い器などが廻り独特の景観を造っています。
出典:株式会社 京舞開発
前川は平成の名水百選にも選ばれ、夏は水の流れが涼やかに聞こえ、冬には雪を流す役割も。
歩きながら建物を眺めていると、平入り・妻入りの町家が混在していることに気づきます。
出典:ameblo.jp
また格子の付いた窓・虫籠窓(むしこまど)や、煙抜きの越屋根なども見られます。
街道を歩いているだけでも充分楽しめますが、時間があれば、ぜひ次のような所へも足を運んでみてください。
熊川番所
通行手形改めや物資の課税など、厳しい取り締まりを行っていた熊川番所。
内部では刺股・突棒・袖がらみなど、取り締まりに必要だった道具を展示。
出典:戯れ言葉
現在の建物は2002年に復原したもので、資料館として一般公開。町指定文化財になっています。
若狭鯖街道熊川宿資料館宿場館
1940年に熊川村役場として建てられ、1997年から資料館として利用されています。
出典:フォートラベル
内部では熊川の宿場の様子や、鯖街道の歴史などを知ることが出来ます。
旧逸見勘兵衛家住宅
出典:福井県 大好き!!
1858年に建てられ、伊藤忠商事2代目社長となった竹之助の生家。
出典:日本歴史旅行協会
1994年に建物と土地が町に寄贈され、1995年に町の有形文化財に指定されました。
倉見屋 荻野家住宅
出典:ameblo.jp
1809年の建築で、熊川宿では最も古い町家建築の1つ。物資の継立を行う問屋を営んでいた荻野家の住宅で、屋号を倉見屋と掲げていました。
2014年1月に国の重要文化財に指定。内部は非公開ですが、その重厚な佇まいは一見の価値ありです。
道の駅若狭熊川宿
出典:ご近所から海外まで
熊川宿の街並みをイメージして造られ、駐車場・トイレは24時間利用できます。隣接する食事処の四季彩館では、鯖寿司や地元の食材を使った食事がいただけます。
また日本で唯一マンガ学部のある京都精華大学と連携して造られた「マンガで知る鯖街道マンガミュージアム」も。
道の駅若狭熊川宿から下ノ町西口駐車場あたりまで、約1kmにわたって続く熊川宿の街並み。
出典:く~にゃん雑記帳
平成8年には国の重要伝統的建造物群保存地区にも選定されています。
のんびり歩きながら、鯖を入れた籠を背負って歩く人々や賑やかだった頃の宿場の様子に思いを馳せてみてください。
鯖料理を食べよう!
鯖街道についていろいろ学んだら、やっぱり鯖を食べてみたくなりますよね?EPAやDHA、ビタミン類に鉄分。多くの栄養素が含まれ、動脈硬化や生活習慣病の予防や改善に期待が出来ます。煮ても焼いても良し、缶詰なら気軽にいつでも食べられる万能の魚。しかし「鯖の生き腐れ」と言われるほど足がはやく、鮮度が落ちやすいのも特徴。
鯖の代表格であるマサバの旬は10~11月で秋鯖、12~翌年2月頃は寒鯖とも言われて一番脂が乗っています。この時期のお出かけなら、鯖をはじめさまざまな海の幸が食べられる小浜市内で味わっていきましょう。
小浜市内で美味しい鯖料理が食べられるお店
朽木屋
出典:ameblo.jp
JR小浜駅から徒歩で6分ほどのいづみ町商店街にあります。江戸時代から続く鯖の専門店で、創業260年余という超老舗。1Fでは浜焼き鯖や加工品などを販売し、2Fがお食事処になっています。もともと持ち帰りだけだった浜焼き鯖を、2Fで味わえることに。
お店イチオシの浜焼き鯖定食¥1650は、大ぶりの鯖をアツアツの状態で食べられるという贅沢さ。営業は土日祝の10:30~14:30で、平日は前日までの予約制なのでご注意ください。
いけす割烹 雅
出典:フォートラベル
大型の生け簀を囲むように造られたカウンター席や、個室・大広間と少人数からグループまで対応。
割烹というと敷居が高いイメージですが、ランチなら手頃な値段で本格的な和食が楽しめます。鯖すし定食なら¥1600から、半身の浜焼き鯖が付いた定食は¥1900から。
出典:食べログ
いろんな魚を味わいたいなら、若狭の漁師丼¥2300がオススメ。こちらはランチタイム限定20食のため、早い者勝ち!
トラフグやぐじ・越前がに・岩がき・穴子など、季節によりさまざまな若狭の海の幸が食べられるお店です。
若廣 工場直売所
出典:つちのこstyle
せっかく小浜に来たから、お土産に鯖寿司を買っていきたいという方にオススメ。空弁ブームの立役者でもあり、羽田空港の空弁売上5年連続第1位を獲得したこともあるのが若廣の「焼き鯖すし」。
出典:ameblo.jp
福井県民にはお馴染みの浜焼き鯖を棒寿司にしたもので、肉厚でボリューム感のある鯖と福井県産コシヒカリがベストマッチ。使用している鯖はノルウェー産ですが、国産の鯖を使ったものが欲しいなら「焼き鯖すし極」「鯖寿し匠」「さば鮨極」などの商品も。
出典:マイフェバ
福井県内では道の駅なら若狭おばまや若狭熊川宿、北陸自動車道上り線の南条SAなどで購入できますがオススメは工場直売所!種類も豊富なので、ぜひ立ち寄ってみてください。
濱の四季
「鯖もいいけど、ほかの海の幸や福井名物も食べたい」。そんな方には、濱の四季がオススメです。
出典:360@旅行ナビ
土日祝限定ですが、よっぱらいサバのお刺身付き鯖街道御膳デラックスが¥2300でいただけます。
また鯖の竜田揚げ定食や、米ぬかと塩で鯖を1年ほど熟成させた若狭地方の伝統食のへしこを使ったお茶漬けの定食も。
出典:トリップアドバイザー
地元でお馴染みのソースカツ丼は福井県産ポークを使用、小浜では一般的な醤油干しの干物の定食なども。グループや家族で出かけた時に食べたいものの意見が分かれても、ここならみんなが楽しめるでしょう。
とろさば料理専門店SABAR 小浜田烏店
「日当たりのいい海の家がコンセプト」となっていて、外観や店内もまさにそんな海の家スタイル。
ここは、よっぱらいサバが食べられる数少ないお店の1つ。鮮度の落ちやすい鯖ですが、ここでは姿造り・お造りも提供。よっぱらいサバの養殖はSABARのある田烏で行われていて、輸送コストがかからないためリーズナブルに味わえます。
出典:食べログ
定食類のほか、から揚げ・ぬた和えなどの単品も。よっぱらいサバの販売は、10月30日以降の営業日から。鯖好きなら避けては通れないお店ですが、営業は土日祝のみの11:00~ラストオーダー15:00まで。できれば予約をしてお出かけください。
小浜市のブランド鯖「よっぱらいサバ」について
かつて鯖の一大産地だった小浜市ですが、その後水揚げが激減。2016年6月から復活を賭けて、サバの養殖に取り組んできました。
出典:TIME&SPACE
そこで生まれたのが「よっぱらいサバ」。京都の酒蔵で製造された酒粕を入れたエサで育てられた鯖で、食べたら酔っ払うというわけではありません。酒粕を入れることで青魚特有の臭みを抑え、市販のエサよりも成長が良くなり脂も増加するそうです。
出典:食べログ
まだまだ全国的な知名度は低く、食べられるお店も限定的。また2020年度は猛暑により漁獲量が大幅に減少したことで、より食べられる機会が少なくなりました。どうしても食べたい場合は、市内のホテルや民宿・飲食店などへ事前に確認をしてみてください。
浜焼き鯖について
出典:フォートラベル
脂の乗った鯖を背開きにして丸ごと串焼き。何とも豪快な見た目に驚かされます。小浜市のほか、敦賀市などでよく見られます。大きさにより、1本焼くのに15~20分かかるそうです。外の焼き目が香ばしく、中はふっくらジューシー。
食べる時は生姜醤油に付けるのが一般的で、もし食べきれずに残っても身をほぐしてお茶漬けやきゅうりと和えて酢の物にしても美味しい!
出典:カネサン桝屋
もともと傷みやすい鯖を保存する為に考え出されたと言われますが、今では小浜を代表する鯖グルメの1つ。B-1グランプリにも出品されたことで名前が知られるようになり、これを目当てに訪れる観光客も増えています。ぜひ1度お試しください。
青魚の代表格で、栄養満点。秋から冬にかけて一層脂が乗り、美味しさもプラスされます。
鯖街道を通り、はるか京都まで。背負ったカゴに入れ、1日掛けて峠を越えて行く。今では想像することしか出来ませんが、かつてはそんな輸送方法がありました。
歴史を知れば、より鯖を美味しく食べられるかも。小浜への旅行の際には、鯖の食べ忘れにご注意ください。
※営業時間や定休日・料金などは、お出かけ前に各施設へご確認ください。
※飲食店・販売店により、扱う鯖は国産・外国産があります。