小布施は栗と北斎の町!年間100万人が訪れる人気観光地を巡る
2024年12月06日(金)/長野県
小布施町は長野県の北東に位置する小さな町ですが、年間100万人が訪れる人気観光地。9~10月の新栗シーズンはその時にしか食べられないスイーツもあり、栗好き女子には堪らない場所。
また葛飾北斎とも縁が深く、絵画や美術などに興味がある方にもピッタリ。歩いて廻れる範囲に観光スポットや栗が味わえるお店など、見どころがギュッと詰まっています。実際に訪れてみれば、栗と北斎の謎に迫ることができます。
Contents
葛飾北斎と小布施の関わり
江戸時代に活躍した浮世絵師で、その作品を目にしたことは一度や二度ではないと言う方も多いと思います。
1960年に江戸に生まれ、90歳で亡くなっています。その当時の平均寿命は50歳位とのことなので、かなり長命であったと言えます。
出典:LIFE is..
生涯にわたり3万点以上の作品を残していますが、ゴッホやゴーギャン・セザンヌなど世界的な画家へも大きな影響を与えました。
1988年にはLIFE誌の「この1000年間に最も重要な功績を残した世界の人物100人」で、日本人では唯一選出されました。海外にも多くのファンをもつ葛飾北斎ですが、実に謎の多い人だったようです。
出典:中野商事
「葛飾北斎」と名乗り始めたのは、1802年の頃。生涯30回も改名したり、引っ越しは90回以上。それも、部屋が散らかるたびに引っ越すというから驚きです。
1842年、地元の豪農商で画家でもあった高井鴻山の招きに応じて83歳の時に初めて小布施を訪れます。そして高井鴻山から碧漪軒(へきいけん)というアトリエを提供され、小布施に逗留し数々の作品を製作します。
出典:北斎館
葛飾北斎と言えば『富嶽三十六景』が代表作で、特にダイナミックな波の様子を描いた「神奈川沖浪裏」や赤富士と呼ばれる「凱風快晴」が有名です。
葛飾北斎ゆかりの場所を巡る
小布施で、葛飾北斎はどのように過ごしたのでしょうか。そんな足跡や、ゆかりの地を巡って確かめてみませんか?小布施を訪れた際に、「ここは見ておきたい!」というスポットをご紹介します。
北斎館
出典:Gooブログ
1976年にオープンした、小布施を代表する観光スポット。小布施と葛飾北斎との関わりを知る上で、ここは絶対に外せない場所。
小布施滞在中に描かれた肉筆画や書簡など、約50点を収蔵しています。館内では「小布施と北斎」「ジャポニズムと北斎」という映像の上映や、常設展・企画展で作品や北斎の人となりを知ることができます。
その中でも、やはり祭屋台にはめ込まれた天井絵は見事。長野県宝の2基の屋台は、東町と上町のもの。
町中から寄付を募り造られた東町の祭屋台に描かれているのは龍図と鳳凰図。1844年、北斎85歳の時の作品。
高井鴻山が私財を投じて造られた上町祭屋台は、1845年の86歳の時のもので男浪と女浪の怒濤図。
第1展示室から第5展示室まで順に進むと、最後にミュージアムショップの前まで戻ります。所蔵作品をモチーフにしたグッズなどが販売されているので、ぜひ立ち寄っていきましょう。北斎にまつわる素敵なお土産がゲットできますよ。
高井鴻山記念館
出典:コマクサ
1983年に開館し、小布施へ北斎を招いた高井鴻山の隠宅を改装して造られた記念館。敷地内には、4つの建物と庭園があります。
出典:ペンギンの足跡Ⅱ
鴻山が書庫としていた蔵は第1展示室、上町の祭屋台を収納していた屋台庫は第2展示室、高井家が酒造業をしていた頃に籾の貯蔵庫だった穀蔵を第3展示室として利用しています。
北斎と鴻山関係の書画や、肖像画・北斎の描いた原画など数々の作品を収蔵。さらに12m近くある神社の幟旗や、花鳥画などを常設展示しています。
もう1つ翛然楼(ゆうぜんろう)という2階建て京風の木造建築もあり、小布施町の史跡に指定されています。
出典:Twitter
鴻山の祖父が建てたもので、中国・明時代の文人である陳文燭(ちんぶんしょく)が自分の書斎に翛然亭と名付けたことにあやかって鴻山自らが付けた名前。
2階の廊下からは、小布施を象徴する雁田山を遠くに望むことができます。
岩松院
1472年に開創した曹洞宗のお寺で、戦国武将の福島正則や俳人・小林一茶とも縁があります。
出典:トリドリ
本堂の大間には、21畳の大きさの「大鳳凰図」という天井絵があります。北斎晩年の大作で、八方睨みの鳳凰とも言われ、どこの場所からみてもこちらを睨んでいるような鋭い目が印象的。
出典:旅散らかし
88~89歳の時の作品で、製作に1年を費やしたそうです。170年も経ちますが、1度も塗り替えていないというのに、美しい色彩を保っていることにも驚きます。
間口6.3m、奥行5.5mの大画面を12に分けて床に並べ、色を付けた後に天井に取り付けられました。
北斎が生涯にわたって描き続けた富士山が隠し絵になっているそうで、制作時に付いた絵皿の跡も残されています。
寝転がって見てみたい所ですが、堂内では座って鑑賞となりますのでマナーを守ってご覧ください。また、堂内での撮影も禁止されています。
ほかにも福島正則の霊廟や、小林一茶が「やせ蛙 負けるな一茶 是にあり」と言う句を詠んだ『蛙合戦の池』も。
美術館・博物館巡りでもっと小布施を知る
小布施の町には大小さまざまな美術館・博物館があります。ぜひ時間があれば、覗いてみてください。
小布施町立歴史民俗資料館
旧都住小学校の校舎を利用して造られた資料館で、町に関連する資料などを中心に展示しています。収蔵する資料の大半は、町民からの寄贈によるもの。
江戸から明治・大正時代にかけて実際に使われていた生活用具や、農商業・養蚕など産業に関わる機器、町の考古資料など約750点を展示・紹介しています。
出典:いまチカ
昔の遊びや粉碾き・糸紡ぎなどの体験も随時行っています。今では観光地としても有名になりましたが、小布施の町の移り変わりを知ることができる貴重な資料をご覧ください。
ただし開館は土曜・日曜・祝日のみなので、お出かけの際はご注意ください。
おぶせミュージアム・中島千波館
現代日本画の作家で小布施出身の中島千波氏の作品を展示する「中島千波館」、江戸から明治にかけて造られた祭屋台のある「屋台蔵」と、年間を通して行われるさまざまな企画展などを鑑賞できる博物館。
作家本人から約1000点の作品寄贈を受け、興味深い作品の数々を楽しむことが出来ます。小布施町で現存する7基の祭屋台のうち5基を収蔵し、その内2基は北斎館で展示しています。
出典:Twitter
この祭屋台は、2011年に小布施町宝に指定されています。北斎館も一緒に見学して、祭屋台をぜひ見比べてみてください。こちらには入館しなくても利用できるカフェも。
地元のおぶせ牛乳を使ったカフェオレや、小布施産のりんごを使った100%ジュースなどで散策の合間に休憩してみてもいいですね。
小さな栗の木美術館
出典:フォートラベル
桜井甘精堂の7代目であった桜井佐七氏が、長年収集した絵画や書・仏画や写経などの仏教美術などを収蔵・展示するミニギャラリー。
大正から昭和にかけて活躍した日本人画家や、親交のある洲之内徹氏の作品など30点あまりを常時展示しています。
場所は、桜井甘精堂の食事処「泉石亭」の敷地内にあり、小布施の旧家・高津家の土蔵を改装して造られました。
1989年の開館以降小布施を訪れる人の心を和ませてくれる小さな美術館は、緑が美しい庭園に囲まれています。
日本のあかり博物館
出典:フォートラベル
「北信濃およびその周辺地域の灯火具-金箱正美灯火具コレクション」が1980年に国の重要有形民俗文化財に指定されたことから、そのコレクション963点を常時公開することを目的として造られた博物館。
総合的な灯火の資料館としては日本初で、1982年の開館以来たくさんの方が訪れています。明治時代末期に建造された栗菓子店・竹風堂の米蔵2棟と昭和初期の木造倉庫1棟を、展示室として改装し造られました。
出典:重さんのスポーツ観戦日記
灯火用具をはじめ灯りにまつわるさまざまな用具があり、江戸時代から電灯が灯る近世までの移り変わりをわかりやすく紹介しています。
一週間前までに予約すれば、モザイクキャンドルや蜜ろうそく作りの体験なども可能。小布施散策の際には、ぜひ訪れてみてください。
栗好き必見!お土産&ランチ&スイーツに便利なお店
出典:サヴァンナの愉快な毎日
小布施では、室町時代の頃から栗の栽培が行われたと伝えられています。江戸時代初期には松代藩の御林となって、収穫された栗は厳選して将軍家へと献上されました。
そして200年ほど前から、栗を使ったお菓子作りが始まりました。お店によって違いがありますが、どれも上質な栗を使い栗本来の美味しさがよくわかるものばかり。
出典:台湾の可愛くて美味しい旅
実際に味わって、気に入ったらぜひお土産に。食事からスイーツまで、好きなだけ食べ尽くしてください。ここでは、ランチや休憩に便利なお店をピックアップしています。
小布施堂
出典:Motorradな日々
高井鴻山記念館と北斎館の間に、小布施堂の関連施設が点在しています。栗菓子などお土産探しに便利な小布施堂本店、イタリアのアイスクリームにナッツを加えて栗餡をたっぷりとかけたモンブラン朱雀が味わえる「えんとつ」。
出典:フォートラベル
ランチなら、季節の食材を月替わりのコースでいただける「本店レストラン」、信州大王イワナや信州太郎ポーク・信州牛など地元産の素材を厳選して提供する「寄り付き料理・蔵部」、薪を使った竈で焼く本格的なピザが味わえる「傘風楼」などがあります。
出典:食べログ
お土産や食事にスイーツまで、その充実した施設は小布施で群を抜いています。
桜井甘精堂
1808年に初代の櫻井幾右衛門が、小布施の栗を用いて初めて栗落雁を作ったことから小布施の栗菓子の歴史が始まりました。
出典:フォートラベル
1819年には初代の弟が純栗ようかんを、1892年には5代目が栗かの子を創製。おせちに欠かせない、粒も餡も全部が栗のきんとんはお店を代表する逸品です。栗を使ったお菓子の種類が多く、和菓子・洋菓子が揃っています。
出典:食べログ
食事は、庭園を眺めながらのんびり寛げる「泉石亭」で。名物の栗おこわに、そばや天ぷらが付いた御膳が人気です。持ち帰り用もあるので、家族へのお土産にぜひどうぞ。
出典:フォートラベル
特製モンブランがいただける「栗の木テラス」は、常時20種類の紅茶メニューがあるので紅茶好きの方にもオススメです。
栗庵風味堂
1864年創業以来昔ながらの製法にこだわり、手間をかけてさまざまな商品の製造を行っています。北斎館の近くにあるので、散策途中にも立ち寄りやすい。
店内には「Cafe Saku-G」があり、自家製の栗餡とおぶせ牛乳を使ったソフトクリームなど10種の味が競演する贅沢なパフェがイチオシ!
出典:食べログ
また、お餅を使ったワッフルならぬモッフルが栗とコラボした栗モッフルパイも気になる存在。店内にも栗を使った和菓子・洋菓子がたくさんありますが、女性へのお土産にピッタリなのが「くまさんもなか」。
出典:栗庵風味堂
キュートな熊の形をした最中の皮の中には、栗餡がギッシリと詰まっています。お湯の中に浮かべれば栗餡のお汁粉に。
またレトルトタイプの栗ご飯もあり、いつでも好きなときにレンジでチンすれば小布施の味が楽しめます。
栗菓子竹風堂
国産であることはもちろん、良質な栗100%を使った栗菓子や栗おこわ作りにこだわるお店。
とくに『自家仕込み』といい、厳選した栗を新鮮なうちに用途に合わせて適切に処理。蜜漬栗になる生栗は、未だに皮剥きを手作業で行っています。
栗おこわに山菜やニジマスなど信州らしい食材を使った定食がいただけるレストランが2階にあり、栗あんみつや栗あん汁粉などの甘味も味わえます。
1階の売店で忘れずにお土産探しを。12月~3月までの限定品「栗なっと」は、一粒ずつ丁寧に手剥きした栗の甘納豆。
出典:あかめ女子のwebメモ
栗おこわなら、日持ちする冷凍タイプが便利です。手軽なワンハンドグルメなら「どら焼き山」がオススメ。
本店横には系列の雑貨店「自在屋」があり、その一角にはジェラートショップを併設。栗あんソフトクリームもぜひ食べてみて!
「何故?」と思ったことが解決出来ても、いや出来なくても実際に出かけて確かめてみましょう。栗おこわや栗のスイーツをたっぷりと味わい、北斎の歴史を知り肉筆に圧倒される。きっとその旅は、想像以上に充実したものになるはず。
ちなみに町内には130ものオープンガーデンがあり、春から秋にかけて個人宅のお庭を公開しています。なので、小布施は「栗と北斎」に加えて花の町となるのが正解のようです。
※営業時間や定休日・料金など、お出かけ前に各施設へご確認ください。