大本山永平寺の見どころを徹底解説
2024年09月05日(木)/福井県
福井県内で最も有名な寺院で、一年中参拝客が絶えない大本山永平寺。まっすぐに伸びた杉が作る深い森の中に、整然と並ぶ堂宇。
一歩境内に足を踏み入れると、思わず背筋がピンと伸びるような空気感。そこには、静寂の世界が広がっています。
訪れたことのない方はもちろん何度も参拝している方も、気持ちを新たにして出かけてみませんか?今回は大本山永平寺の見どころを徹底解説させていただきます。
Contents
永平寺について
1244年に越前志比庄の領主・波多野義重公の願いによって、道元禅師が大仏寺を建立したのが始まりです。その2年後に永平寺と名を改められました。横浜にある總持寺と共に、曹洞宗の大本山です。
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出家参禅の道場で、常に200名ほどの雲水(修行僧)が日々修行を行っています。10万坪(約33万平方メートル)と広大な敷地に、大小70ほどの堂宇が立ち並んでいます。
その中でも法堂・仏殿・山門・僧堂・庫院・東司・浴室は七堂伽藍と呼ばれ、禅宗では修行に欠かすことの出来ない大切な場所です。
法堂・仏殿・山門を縦に、僧堂と庫院、さらに東司と浴室を左右対称に美しく配置し、それぞれを回廊で結んでいます。
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一年を通してたくさんの参拝客が訪れ、2015年に「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」で二つ星を獲得後は、海外からの観光客も増え続けています。樹齢700年を超える杉の木立に包まれた静寂な空間で、自分を見つめ直す時間を作ってみるのもいいかもしれません。
参拝について
出典:旅散らかし
まずは、窓口や永平寺町観光案内所にある券売機で参拝券を購入します。見学の所要時間は、1時間~1時間半程度。ただし山の斜面にあり急な階段も多いので、ゆっくり時間を取った方がいいでしょう。
どこを見ても、いつ訪れても美しい風景が楽しめる永平寺。写真をたくさん撮りたい気持ちもわかりますが、永平寺はあくまで修行道場で観光施設ではありません。携帯電話・スマートフォンは、マナーを守って利用しましょう。
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堂内の見学路は左側通行・時計回りになっていますので、決められた順序で見学してください。修行道場であることを忘れずに、私語も慎みましょう。
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七堂伽藍は全て屋根付の回廊で繋がっているので、見学中は天候の心配は必要ありません。気をつけたいのは冬季の見学。永平寺周辺はしばしば大雪に見舞われ、2018年2月には一時拝観を見合わせる時期もありました。
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雪の降る季節の永平寺は、まるで水墨画の世界。この時期に出かけたい方も多いと思いますが、念のため永平寺や観光案内所などへ確認を取ることをオススメします。
出典:旅散らかし
御朱印をいただく場合は、拝観入口からすぐの場所に御朱印所がありますので、まずはこちらで手続きを。整理券を記入して御朱印帳を預け、拝観後に受け取ります。
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御朱印帳を持ってくるのを忘れたり、持っていなくてもこちらで購入が出来ます。まだ御朱印をいただいたことがない方は、ぜひ永平寺から始めてみては?
修行の体験も可能です。坐禅は10:00・11:00・13:30・14:30・15:30、写経は随時受け付けていて、それぞれ予約不要。朝の行持により変更になる場合がありますので、体験を希望する場合は事前に確認を取っておきましょう。
参拝時間:5月~10月 8:00~17:30、11月~4月 8:30~17:00
※朝の行持により変更になる場合があります
主な見どころ
見学の際に、至る所がピカピカに磨かれゴミ一つ落ちていないことに気づくと思います。これは、雲水たちが毎日行う掃除により保たれています。
雲水の生活は午前3:30(冬季は4:30)の起床から始まり、坐禅やお勤め・作務などが21:00の就寝まで一日を通して行われます。
禅宗の中で、掃除は最も大切な修行の1つ。見学する際は、こういった所もぜひ感じ取ってください。
法堂(はっとう)
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禅師様の説法道場で、一般的には本堂と呼ばれる建物で1843年に改築されました。380畳敷きの堂内の中央にはご本尊の聖観世音菩薩、階段下の左右には阿吽の猊(げい ※白獅子)を安置しています。
こちらでは、朝課と呼ばれる朝の勤行などさまざまな法要も行われます。法堂は七堂伽藍の中で最も高い場所にあり、最も大きな建物。
仏殿(ぶつでん)
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七堂伽藍の中心にあたり、中国宋時代の様式で作られた二重屋根が特徴です。須弥壇(しゅみだん)と呼ばれる壇の中央部分にご本尊の釈迦牟尼仏を、その右側には未来弥勒仏・左側に過去阿弥陀仏の三世如来を安置しています。
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また、禅宗の祖と言われる達磨大師も祀られています。禅宗の逸話を図案化し、細かい細工を施した彫刻が欄間にはめ込まれています。仏殿以外にも永平寺の諸堂にはこのような彫刻がたくさんあるので、見逃さないように!
承陽殿(じょうようでん)
奥の本殿には中央に道元禅師の御尊像と御霊骨を、左右に2代から5代までの御尊像をお祀りしています。そのためここは道元禅師の御真廟、つまりお墓にあたります。
出典:登山・花日記 – FC2
日本曹洞宗の発祥の根源で、曹洞宗の聖地。現在の堂宇は1881年に改築され、堂内の中央に掲げられている額は明治天皇の筆によるものとされています。
山門(さんもん)
1749年に再建された永平寺最古の建物で、修行僧が正式に入門する際に通る玄関口にあたります。
出典:ぐるたび – ぐるなび
正面の柱部分には「ここより先は厳しい出家修行の道場であり、求道心の在る者のみ門をくぐることが許される」を意味する言葉と、その上部には吉祥山永平寺の命名の由来になった吉祥の額が掲げられています。
中国唐時代の様式の楼閣門で、両側には仏教の守護神・四天王を、2階部分に五百羅漢を安置しています。
東司(とうす)
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お手洗い・トイレのことで、正面には烏蒭沙摩明王(うすさまみょうおう)をお祀りしています。僧堂・浴室と共に三黙道場の1つで、私語厳禁です。
烏蒭沙摩明王は炎で不浄を清める力を持つことから、東司に祀られることが多いようです。使用前後には、必ず一礼を。
大庫院(だいくいん)
出典:ホトカミ
食事の支度ができると、まずはここに祀られている韋駄尊天に供えます。魚の形をした「ほう」が打ち鳴らされると、雲水たちの食事の準備が整った合図。
食事が作られるまでの手間と苦労を考え自らを省みる、食事も大切な修行の1つであるという教えを大切にしながらいただくそうです。
出典:360@旅行ナビ
1階には修行僧や参籠者の食事を作る台所、2階は来賓用接待の間、3階は150畳もの大広間があります。入口には長さ4m・胴回り1mの大きなすりこぎが掲げられていて、永平寺の名物にもなっています。
ちなみに3回なでると女性は料理が、男性はご機嫌取りが上手になるとか。
僧堂(そうどう)
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坐禅堂とも呼ばれ、日々雲水が修行に励む根本道場です。堂内の中央部分に文殊菩薩が祀られ、その周りに坐禅を行う「単」と呼ばれる席があります。
雲水には畳1畳分のスペースが与えられ、ここで坐禅や食事・睡眠を行います。
鐘楼堂(しょうろうどう)
高さ3m、重さは約5トンの大梵鐘。戦時中は金属不足により徴発となり、戦後に戻された後改めて鋳造し直して造られました。朝・昼・夕・夜の1日4回毎日撞かれています。
道元禅師750回大遠忌の記念事業として2000年に整備された寂光苑には、寂照の鐘があります。ここなら一般参拝客は誰でも鐘を撞くことが出来ます。寂光苑は少し離れた場所にありますが、時間があればぜひ足を運んでみましょう。
瑠璃聖宝閣(るりしょうぼうかく)
出典:フォートラベル
展示場と収蔵庫を兼ねた宝物館で、道元禅師750回大遠忌を記念し2002年に改築されました。
出典:ぐるたび – ぐるなび
国宝に指定されている道元禅師直筆の「普勧坐禅儀」を始め、重要文化財の絵画や書籍など数千点の宝物が収蔵・展示されています。充実した内容で、見応えがあります。
唐門(からもん)
杉の古木の奥に建つ堂々とした佇まいの唐門は、勅使門とも呼ばれます。通常皇室からの使者を迎える際や貫首就任時のみ開かれますが、2016年には1839年の門建立以来始めて一般開放されました。
出典:産経ニュース
それ以降大晦日に一般開放を続ける予定とのことなので、年越しを永平寺で迎える方はぜひこの機会を逃さないように!ただし23:00から4時間だけなので、厳しい寒さの中で待つ覚悟が必要かもしれません。
傘松閣(さんしょうかく)
出典:永平寺町
1993年から2年の歳月をかけて再建され、併せて1930年の建設当時の天井画を修復しました。144名の画家により描かれた美しい天井絵は、230枚にも及びます。
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主に花や鳥を描いていますが、鯉2枚・唐獅子2枚・リス1枚が紛れています。これを見つけると願いが叶うと言われるそうですが、じっくり見過ぎてくれぐれも首を痛めないように。
浴室(よくしつ)
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三黙道場の1つで、入浴も心身を清める修行と考えられています。そのため入浴は作法に従って厳粛に行われます。4・9の付いた日が入浴する日と定められていますが、夏場は淋汗と称した沐浴も許されています。
またこちらには、水により悟りを開いた跋陀婆羅菩薩(ばっだばらぼさつ)を祀っています。※内部の見学は出来ません。
鬱蒼と生い茂る杉の老木と、清らかな空気に包まれた永平寺。それは、訪れた人だけが感じられる独特な空間。
参拝を終えた後は、きっと清々しい気持ちでいっぱいになるはず。ぜひ永平寺をお参りして、心を真っ白にしてみませんか?