北海道の方言総まとめ
2024年11月24日(日)/北海道
北海道在住の方、そして北海道に引っ越す予定の方に向けて、今回は北海道弁特集です。日常的に普通に使っている道民の皆様は「北海道の方言ってそもそも何?」と、何が方言で、何が標準なのかはっきりしていない方も多いかと思います。一方で、道外から来る方は北海道の独特の表現をこの機会におさえてくださいね!
◼︎北海道弁ダイジェスト動画
今回はわかりやすく北海道弁を以下3本立てでお送りします。
①北海道弁ってどんなの?
②北海道弁の始まりは?
③北海道弁は沿岸部と内陸部で違うの?
④北海道弁を具体的に教えて?
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①北海道弁ってどんなの?
北海道弁、つまり北海道の方言はほとんど東京の標準語に近いです。イントネーションやアクセントは標準語とほぼ一緒。違うのは独特の言葉の使い回し、用語があるのみ!
札幌圏や道内大都市の旭川、小樽、函館などでは北海道弁は確かにあまり使われないですが道内の田舎にいくと使われることが多々あります。特にご年配の方々は遠慮なく方言で会話してきますので覚えておいて良いにこしたことはないでしょう。
②北海道弁の始まりは?
北海道の方言のルーツは津軽地方→道南から派生したと言われております。
北海道開拓の歴史に津軽の人々が携わったことが関係しており、かつて北海道の中心は道南、函館や松前、江差の道南エリアが主流だったことから、この説が来ています。
当時は、津軽との関わりが深く、現在でも渡島半島の日本海海岸沿いの漁師たちを中心に、津軽弁に非常に似た聞き取りにくい方言(浜言葉)を話しており、北海道弁もそこから派生したのだとか。
もちろん北海道弁の濃淡はあり、道北・道東などは北海道の歴史がまだ浅く方言はそこまでありませんが、道南の松前や江差を中心にして北海道の方言の歴史は深いです。
③北海道弁は沿岸部と内陸部で違うの?
北海道弁の沿岸部と内陸部ではどのような違いがあるのでしょうか。
北海道弁の違いは入植者によるもの?
入植者によって方言に違いがあり、北海道の半分以上は東北の方言で、内陸部は北陸の方言が交じっているとも言われております。
例えば、筆者の父方の先祖は石川県から、母方は山形と秋田から渡島半島に移住してきたそうです。そのためか、同級生と話してても、「○○ちゃん、それどうゆう意味?」と聞かれた事があります。やはり、祖父母の出身によって方言も変わり、同じ北海道内でも各家庭でしゃべる方言も違うようですね。
また、北海道と一概に言っても、九州の2倍の大きさであることから各地域によって方言が変わってくるのは至極当然なこと。北海道各地域の方言の特性を地域別にみていきましょう
内陸方言(札幌・旭川・帯広など)
ある雑誌の特集では、標準語に近い都市ランキングの第6位に北海道がランクイン。千葉県が7位という結果。北海道と一緒くたにしましたが、その中でも旭川が昔から標準語に近い地域。筆者の知人の旭川出身者もとりわけ綺麗な話し方をします。
さて、イントネーションですが、沖縄や大阪や広島と比べると内陸地方の言語は東京と遜色ありません。そして、このイントネーションに加えて、北海道は時給が低い、つまり固定給が少なくすむという理由から東京の会社のテレアポ業者が蔓延しています。
ただ、北海道ならではの多少の方言も存在します。例えば、「なまら」~大泉洋さんもテレビでよく使っていますが「とても」と言う意味で札幌の人はよく使っています。
また「したっけ」(さようならの意味)も若い子が多々使います。「したっけね~」と。(筆者は函館出身なので違和感ありありで、函館は「せばね~」又は「したらばね~」でした。)
他に代表的な方言を挙げるならば、以下が訛りの少ない内陸地方でも使われる方言になります。
・「ゴミをなげる」~これが北海道弁だったのは衝撃的でしたがゴミを捨てるの意味ですね。仙台でもなげるのようですのでそこからきているのかもしれません。
・「お米をうるかす」~お米を浸す
・「雪をほろう」~雪をはらい落す
海岸部の方言(函館・室蘭・釧路など)
海岸部の方言とは港町の地方の方言の事を言い、内陸よりもイントネーションが違います。ただ、海沿い部を除いた室蘭や釧路などでは訛りは少なく、体感として札幌や旭川と変わらないと思います。そのため、ここでいう海岸部の方言は主に函館、及び室蘭や釧路の海沿いと定義します。
海岸地域の方言の特徴としては、語尾に「~っしょ」「~かい」「~だべ(だべさ、だべや)」「~さ」を付ける回数が内陸地方より数段に多いことです。浜言葉だなと感じる方も多いのではないでしょうか。
しかし、道南地方の訛りは際立っています。例えるなら、札幌と函館では、東京言葉と青森言葉ほどの違いがあります。一例をあげてみましょう。
- 「(札幌)そんなこと言わないでよ→(函館)すったらごどゆうなよ、又はそげなごどゆでなよ」
- 「あなた、喋っていないで仕事してよ→おんめぇくっちゃべっでねぇでしごどせぇよ」
- 「味噌汁こぼした→みそつゆまがしだ」
- 「そうだよね→んだ・んだっけさ・んだんだ」
- 「そういえば→せばさ・せばね・せば」
- 「早く行ってよ→やっとさ、やーっどいげや、又ははえぐいげや」
共感する方もいらっしゃるのではないでしょうか。このように道南地方は港町にプラスして青森からの移住者が多く、津軽弁の混ざった方言が函館弁。
また、言葉全てに濁音が付いているようなしゃべりで、函館の浜出身じゃない方もしっかりと訛っています。多くの方は濁音だと言葉が荒いと感じるようで「よく恐い」とか「毒舌」などと言われたりもします。
しかし、それは方言から来るものなので、そのイメージは払拭していただきたいです。このように、同じ北海道内でも道南だけは別格の訛りであり、裏を返せば、すぐにどこの出身か勘付かれることが多々あります。
北海道弁の訛りは戻る?
また、函館出身者がこの訛りを一度忘れたとしてもすぐにもどる傾向があるようです。というのも道南地方の特に浜よりの出身の方は、訛りのない都会に上京し7~8年かけて言葉を直しても故郷に帰ってきて3日もあれば完璧に浜言葉に戻ります。関西弁でも同じような傾向があるようなので、強い(忘れにくい)方言というのは同じ傾向なのかもしれませんね。
筆者は函館出身で浜出身ではないのですがめちゃくちゃ訛ってます。ですので、上京した当時はとても大変でしたし辛い思いも少なからずありました。しかし、故郷に戻り訛りを存分に喋れる時の解放感はたまりませんね。
最後に、北海道弁の代表格から順にみていきましょう!
④北海道弁を具体的に教えて?
【(ごみを)投げる】
(ごみを)捨てるの意。用例「今週のごみ投げ当番だれだ」
回答者の56・2%の支持を集めました。道産子が無意識に使ってしまう言葉の代表格です。
「茨城の工場で地元の人に『このごみ投げてきて』と言ったら、『どうやって投げるのですか』と投げ方を聞かれた」(五十一歳男性)「大阪で二階に住んでいて『ごみ投げるわ』と言ったら、やめなさいと止められた」(四十四歳女性)などの体験談も寄せられました。ごみをその辺にポイポイ投げられたら確かに困りますね。
日本方言大辞典(小学館)によると「投げる」を捨てるの意味で使う地域は、道内のほか東北全域に及びます。関西では「放る」を意味する「ほかす」を使うところも多いです。
【(手袋を)はく】 靴下、靴と同じ
(手袋を)はめるの意。用例「手袋はけばあったかい」
「手袋は『はめる』ものでなく、『はく』ものだと思います」(三十七歳女性)との力強い意見の通り、道産子にとっては手袋は靴下、靴と同じくはくもの。全体の47・8%がよく使うと回答しました。
「手袋を『はく』を今、北海道弁だと知りました。びっくり」(三十四歳女性)など方言と気付かずに使っていたという人も複数散見されました。これが標準語と思っている人が多い印象。東北地方でも使われることが多く、ようは雪国共通の用語。これは廃れることはないと思われます。発音アクセントは標準語の「はく」と同じ。
また「タイヤをはく」とも使い、意味は「タイヤ装着」。タイヤ交換の話題が始まる10月、または4月になると「タイヤもうはきかえた?」との会話がちらほらと聞こえてきます。北海道では靴も靴下もズボンも手袋もタイヤもみんな同じ。標準語の意味よりも広い意味合いですね。
【こわい】
何も幽霊が出たわけではありません。「こわい」は主に肉体的疲労に使われます。意味は「疲れた」「だるい」「苦しい」。かぜ引いたとき熱を出せばふらふらするが、そこでも「なんかこわい」と使います。その他にも、ずっと立っていて疲れたというときにも。用例「こわくてこわくてやってられんわ」
疲れたの意味で「こわい」を使う地域は意外と広範囲にわたり、日本方言大辞典によると、道内のほか東北全域、北関東一帯、奈良、広島、山口、愛媛、鹿児島の一部などでも使われるのだとか。
「医者に行った時、こわくてこわくて目まいがすると話したら、医者の私がなぜ恐ろしいか、危険と感じてなぜここに来たか、嫌なら来るなと言われた」(三十六歳女性)など誤解を招いたケースも!
「東京でタクシーに乗って『ああ、こわい』と言ったら、運転手さんが『北海道弁懐かしいなあ』と料金を負けてくれた」(五十九歳女性)というエピソードも。微笑ましいですね!
これは北海道に限って使われるものではないらしく、「あーこわい」と言っている人がいたら、「この人なんか怖い夢でも見たのかな」と思うのではなく、「だいじょうぶかい?」と優しく声をかけてあげてくださいね。
【きかない】
「きかん坊」は標準語。気が強い、わんぱくな、健康なの意。用例「あそこの子ならほんとにきかないもね」
「言うことを聞かない」「気が利かない」から転じたと言われております。東北の広い範囲では同様の意味で「きかず」ともいいます。青森県では「きかせない」という言い方も。
「きかない」子どものことを「きかん坊」といいますが、これはほぼ標準語で広辞苑などにも掲載されています。「健康な」という意味で使うケースは限られ「インフルエンザが流行っているけど、うちの子きかないから大丈夫だ」のように用います。
【うるかす】 料理本にも堂々登場
水に浸す、わざと放っておき先送りにするの意。用例「米ば研いでうるかしといて」「例のプロジェクト、しばらくうるかしてから取り掛かろう」
ごはんを炊く時、米を「うるかす」のは道産子には当たり前。道内出版物などの料理レシピにも時々顔を出します。「標準語だと思っていたが、道外の人に『何それ』と言われビックリです」(二十四歳女性)というほど定着した北海道弁。
日本方言大辞典によると「水に浸す」の意味でうるかすを使う地方は多く、東北のほか北関東、熊本県の一部でも使います。ただ「わざと放って置く」の方は、道内と津軽地方のみ。何か先送り体質みたいなものがあるのでしょうか。
また、関連用語として「うるける」という言葉も。これは「うるかす」の行為の結果として生じたこと、つまり「ふやけている」状態などで使われます。お風呂に入ると指先がしわしわになって、うるけているよね。
【しばれる】 厳しい冷え込み表現
気温(大気)が激しく冷え込んでること。零度くらいでは使いません。氷点下(マイナスの気温)で、厳しい冷え込みが起きているときに使います。なので冬場にはよく聞きます。
「今朝はしばれ(る)んねー」とは「今朝は冷え込んでますね」ということ。冷え込む、こごえるの意。用例「今夜はほんとしばれるねえ」「今朝はしばれたべさ」
北海道弁の中でも有名な部類に入る言葉の一つでしょう。語源には諸説あり「寒くて身が縛られるようである」「『凍(し)む』の受け身『凍まる』が転じた」「凍み晴れるが原形」など。
「本当に『しばれる』なんて言うんだ…といわれたことがあります」(三十九歳女性)という回答も。「しばれる」としか表現しようのない冷え込みの日って確かにあります。
「しばれる」は、気温に関連して寒いことですが、水が冷たいことは「しゃっこい」となります。ちなみに「シバリング」という医学用語もあるのだとか。寒くて体を震わせること。「しばれる」との関連は不明です。
最近急上昇 【おだつ】
北海道弁でいう「調子にのる」「カッコをつける」「ムダに目立つ」みたいな意味で使われる言葉。大阪弁で言う「いちびる」に近いかもしれません。用例おいしいものを食べたら「おだつ」、おしゃれなものを見たときに「おだつ」
今この言葉が、北海道弁なんで北海道ではもちろんですが、全国的に使われ始めているのでこの急上昇ワードにいれました。上記の意味で使うことはもちろんなのですが、東京でよく使われている「ヤバイ」と意味でも使われ始めています。
地域により意味が異なる北海道弁
ここで代表的な方言をご紹介したので、先日twitterで行った調査結果について共有します。これは「くすぐったい」という言葉を示すのに主に2種類の方言で話されているのでどちらが多いのかをお聞きしました。
この結果から73%がこちょばい、23%がもちょこいと回答したということになります。 こちょばい、もちょこいと回答していただいたユーザーの方からはそれぞれこんな意見が。
私の母は「もちょこい」って言いますね。☺ https://t.co/HxoOzCnEy5 — おてんば兎坂田ちゃん (@arisa_otenba) 2016年3月15日
十勝はこちょばいだけど他の地域の方はいかが? https://t.co/EhT0BpGMST — やすのん (@yasunori0913) 2016年3月15日
さらには「こちょばい」「こちょばしい」「こちょばゆい」なんて言い方をすると回答してくれた方もいました。このように、地域や世代などにより話されている方言が異なるようです。それらは上記したように、歴史的背景に依拠しています。言葉一つとっても多様性に満ちており、北海道の文化は非常に興味深いですね。
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それ以外の北海道弁と用例一覧
・したっけ「そうしたら」
用例:「昨日、テストだって言うから、いっぱい勉強していったんだ。したっけ、テストなかったさ」
・いずい:「目などにゴミが入ってしまい、ごろごろするような感じを表す」
・たいした:「とても」
用例:「いやいや、あんたんとこの息子さん、たいした成績いいって言うしょ」
・なんも:「何も」
用例:「ずいぶん、商売うまくいってるんじゃない」「なんも、なんも」
・あっぺこっぺ「あべこべ。正規の逆」
用例:なんかドラえもんの登場人物の服装があっぺこっぺになってるよ~!
・いいふりこく「かっこつける」
用例:いいふりこいてEnterキーをやたら強くたたく人っているよね。
・おがった「成長する、伸びる」
用例:めっちゃまつげおがったーーー!!!
・かっちゃく「ひっかく」
用例:あ~めっちゃかっちゃきたいわ~
・からっぽやみ「怠ける」
用例:からっぽやんでダラダラしてたら武田鉄也にこんなこと言われたよ…
・がおる「やつれる」
用例:がおってこんな感じに。
・くまる「からまる」
用例:あ~ん、糸がくまった~!
・けっぱる「がんばる」
用例:ハゲ隠すためにとりあえずこれでけっぱるわ。
・こったらべっこ「わずか、少々」
用例:こう見えてもこったらべっこ違うんだよ。
・ごんぼほる「だだをこねる」
用例:ごんぼほってる犬
・すっぺさがり「たれ目」
用例:俺のチャームポイントはこのすっぺさがりさっ。
・てっくり返る「ひっくり返る」
用例:やべ、てっくり返っちゃった
・どってんこく「びっくりする」
用例:おんなじ顔の人がいてどってんこいた~!
・のっこり「いっぱい」
用例:ケーキのっこり持ってきたよ~
・はっちゃきこく「必死になる」
用例:はっちゃきこいて手を伸ばしています。
・ばくりっこ「取り替えっこ」
用例:足だけばくりっこしてもらったんだけど、どう?
・みったくない「かわいくない」
用例:俺がみったくないってことくらい分かってるよ
・もちょがす「くすぐる」
用例:やだ~もちょがさないで~!!
・おばんです(おばんでした)「今晩は」
用例:「おばんでございます」
夜、知っている人から電話がかかってくると、思わず出てしまいます。特に目上の人に対して「今晩は」というのは失礼な感じもし、「おばんでございます」と言いたくなるのです。
・わやくちゃ(わや)「めちゃくちゃ」
用例:「子供たちが遊んでたから、もうわやくちゃだ」
・がす:「霧」
用例:「いつもこの時期は、がすがかかっているねえ
北海道弁やはり覚えておくと、いざという時に意思疎通がスムーズにいくので何かと便利ですよね。
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